結婚のお代金
仕事の関係で、ホテルや結婚式場に出入りすることがある。
これから結婚式を挙げるというカップルを横目に、ビジネスビジネス…と唱えている自分がいる。
もちろん自分だけでなく、婚礼に関わるすべての人間がそうであろう。
幸せそうな二人、並びにご両家の「支払いをする人」にいくらお支払い頂けるかどうか。
その1点のテーマをオブラートに包んでにこやかにお客様と接する婚礼関係者。
「おめでとうございます!」から始まる挨拶も、「さぁ!結婚式をうちで挙げましょう!オプション、どんどん付けましょう!」をオブラートに包んでいるだけだ。
こんなことを考えている自分、いつからこんな風になってしまったのだろうか?そういえば、母親も40代の頃はホテルのブライダル課でブライダルプランナーをしていた。
私が小学生の頃だが、その辺りから結婚式に関する幻想や夢は持っていない。
相手が、もしくは自分が命を落とすそのときがくるまでの何十年間、一緒にいられる人だろうか?それを見極めて、滞りなく入籍届を提出できればそれだけで良い。
結婚というのはこんなシンプルなもので良いと思うようになった。
その「シンプル」を達成するのがどれだけ難しいのかは、結婚適齢期になった数年前から痛感しているのだが。
近所にあるグラウンドくらいの大きな敷地では最近新しい結婚式場が建設されている。
まだ重機で土を掘り返している段階だが、来年オープンするようだ。
国道沿いの場所で、近くにはショッピングモールがある。
美しい海の風景もなければ、夜景が綺麗な場所でもない。
なぜこの場所に?と近所の人みんなで疑問に思っている。
しかしこの地で一生の愛を毎日毎日誓い合うカップルが来年からいると思うと複雑である。
結婚式場なんて、どこでもいいのよ?そう伝えたくなる。