没頭しすぎて我を忘れる

私にはその頃はまだ、そんな気持ちは湧かず「普通に流されているだけなんじゃないの?」と思っていました。

しかし、ほどなくして、彼女に彼氏ができました。

姉のお見合いを手伝いに行った先で同じように手伝いをしていた彼とお互いに一目ぼれをしたのだそうです。
姉は破談しましたが、彼女は彼と結婚するのだといいました。出会ってまだ半年も経ってませんでした。

私は驚きましたが、友人が愛する人をみつけて、何より「寂しい、寂しい」と言っていた気持ちが落ち着いたことに嬉しさを覚えました。
ですが、その後直ぐ、私は気づきます。

自分が本当に「独り」になったことに、です。
彼女が言っていたとおり、誘える独身の友人がいなくなってしまったのです。

実際そうなってからはつまらないものでした。
毎週末には皆で集まって宴会をするほど仲がよかったメンバー、少なくても誰か一人は必ず捕まってアフターを楽しめたメンバーが今では一人もいないのです。

毎日会社とアパートの往復、一人で食事、ウィンドウショッピング。
思った以上に寂しい状態でした。

仕事が忙しかったのでそんなにアフターに友人を呼び出すことがなかった私でしたが、それでもまったく一人もいない状況と言うのは初めてでした。

ふと、彼女の真剣な顔が脳裏をよぎりました。
これか、これが彼女の叫んでいた寂しさ、孤独なんだ。

一人暮らしの心理

高校時代の友人の一人暮らししているマンション。
私はなかなか時間が合わなくてまだお邪魔していないが、鍋パーティーをした友人数名から、疑惑の声が上がっている。
「高価な家具がたくさんあって、上司に買ってもらったらしいんだけど、どう思う?」とのことだ。

3年ほど前に転職してエステの仕事を始めた友人。
昨年、支店がオープンするとのことで立ち上げスタッフとして本店から転勤になった。
家からずいぶん遠くなるのでお店の近くにマンションを借りて一人暮らしをしていることは聞いていた。
元々インテリアに凝るのが好きだったが、それでも昔とはテイストが違っているんだとか。
聞くところによると、そのマンションへの引越資金は会社から出たのではなく、男性上司が払ったらしい。
家具を買うにしても、その男性と一緒に選んでいたとの情報も。
その男性は35歳で次期社長。
妻子有りらしい。
友人は地元に長く付き合っている同い年の素朴な彼氏がいるはずだが、その上司との関係が怪しい。
鍋パーティーのときにずばり聞いてみたが、家に上司が来ることもあるが、何もない!と断言。
だけどあまりに金払いが良すぎる上司は、下心も大いにあるような気がする。
それでその話は終わったようだが、家を後にしてからもモヤモヤは消えないようだった。
たしかに、年上男性に好かれそうなタイプだが、さすがに不倫はしないと思うが…。
同い年の彼とほとんど顔を会わせていないらしいが、もし不倫しているようなことが分かったら、私はなんと言うべきなんだろうか。
彼女の夢でもあった仕事がようやく上手くいきだしたときだし、難しい選択だ。