嘘はつけない

あの日どんだけの屈辱だったか分かる?。
ハラワタが煮えくりかえって悶絶よ。
毎日毎日可愛い可愛いって母親から言われ続けた私が。
ご機嫌が悪くなったら、存分に兄を罵詈馬頭してヤツの泣き顔を見て憂さ晴らししてた私が。

もちろん、母のいない時を見計らった。
暴れる父親に逆に殴りかかって、どさくさに足蹴を食らわしたこの私が?。
ヤクザを相手に逆に脅しをかけて逆に請求書を送りつけてやったこの私が?。
ついでに中年オヤジを骨抜きにしてやったこの私が?。
手をこまねいて、あっ!渋谷の忠犬みたい。
ただただご主人さまのお越しをお待ちするしかないって状況って初めてですわ!。
ありえない。
ありえないって百万回書いてもいい。
その後、確かアメリカだかに出張しちゃったよね?。
返事もくれずに。
もうええわって言いたいけど、言えない自分が哀しい。
業務上の連絡を迅速にもらえて、大喜びする自分も何か物悲しい。
絶対返事をくれるって思ってた。
差し向かいになってどんな話をしたらいいのか、皆目見当がつかなかったけど、でも意外と話も合うかもしれない。
そうだ、いろいろと教わることも多いと思ったし、教わりたいと思った。
尊敬もしてたから、語学習得のコツとかも教わりたい。
今後の仕事の方向性って伺ってみたいなとかって思ってたし。
それにかねてより、きっとあの人は3倍速を習得したに違いないってにらんでたから、仲良くなったらそれも教えてもらえるかもしれない、教材も貸出してくれるかもとか甘い期待もしてたのに。
ドイツ語は、興味ないや。
私は短気の直情傾向だから、自己鍛錬の方法とかもご教示頂けたら幸いだなあって。
そう、いろんな事が考えられるなってわくわくもしてたのに。
サッカーも興味ゼロだけど、元気出して一緒に観戦したりするのかな?そういやサッカーチームに所属してるとも聞いたけど、彼女になったらその勇士を観戦しなきゃならないのかな?黄色い歓声のひとつふたつ上げるなんてできるかな?そりゃあ面倒で苦痛だわ毎回風邪ひこうかな。
その間本とか読んでたらヒンシュクだろうなとか、応援してるフリってなんとか習得できないかなとか、その特権はアロエにお譲りしたいなとか、いろいろ楽しく想像して考えてたのに。
でも、もういい。
もう本当にいい。

同棲のススメ

結婚してがっかりした、たまに彼氏と旅行に行ったらどうしても許せない部分があって別れた、そんな話を聞いたことが何度かある。
やはり、人間もう20年以上生きてくると、パートナーは「自分らしさ」をも愛してくれる人がどうせならいい。
そんな時にふと読んでいた恋愛小説を思い出す。

「同棲しよう」と彼氏に言われ、主人公の彼女は最初拒否していたが、彼氏が毎日居座り続け、最後には彼女の方が彼氏の存在の大きさを知って、「一緒に暮らし続けましょう」という話。
きっと、この彼女は、彼氏の服を脱ぎっぱなしにするところや靴を出しっぱなしにするところ、上げた便座を下さない、そんな微々たる生活環境の違いにも愛で乗り越えたのかもしれない。

そうすると、やっぱり結婚する前にお互いの価値観の一致、不一致が分かるように同棲することは離婚を防ぐ一つの方法なのかもしれない。
共同生活するにあたってどうしても許せない部分を打ち明け、すり合わせながら一歩一歩歩み寄る。それを結婚前にできるってことは修正がきくし、お互いの社会的立場だって傷つけずに済む。

欲を言えば同棲するなら、きちんと親に公表して、許しを得てから同棲したい。
でも、同棲することを公認してくれる親は多いのかな。なかなかいないと思う。特に娘親の方は難しいかもしれない。
でも、それを説得できるように何度も何度も話し合おうとする男女でなければ、あの厳しい結婚生活は乗り越えられない。そういった意味でも、ぜひ同棲はしてみたいし、親をきちんと納得させて、祝福された生活をスタートさせてみたい。