赤いタオル

で、アメリカだ。
もういろんな時期がごっちゃになる。
アメリカで私はあなたから真っ先に業務連絡をもらった。
すんごく嬉しかった。
何故なら仕事がスムーズにはかどるから。
で、その業務連絡をこなした後は?あなたは誰と何を話してたんだろう?。

想像もしてなかった。
あの時期、バレンタインデーが挟まっていた気もする。
なんでそれを活用しなかったのか。
己のバカさ加減にいまさらながら舌打ちしたくなる。
下手でもいいから、手作りチョコとか迷惑千万なものを贈ればよかったのに。
柄じゃないわたしが手作りチョコを作る、渡す、お返事を黙ってお待ち申し上げる。
子犬のような視線でちらちらと甘えオーラを発する。
ねえ、返事は?あたしへの返事は?とかってど根性出してしなだれてみせる。
あれだけメールを出し続けたんだから、それくらいのガッツは出せたはず。
赤いタオルの人に闘魂注入してもらう必要があったかもしれません。
恥の上塗りぐらい、あの際やってのければよかった。
書類のミスを頻発して「どうかしてるね」とかって上司から心配されてしまう。
まあ、凡ミスとか入力ミスは常にてんこ盛りだったけど。
しかも上司はあの課長。
ロマンスの雰囲気が台無し。
でもそれでも恋にやつれた悲壮感を漂わすべきだった。
そうだ、彼女の真似をして倒れてみせてもよかったかもしれません。
そうしたら私の本気に心を動かしてもらえたかもしれない。
その頃の私は何に血道をあげていたんだろう?。
そう、引き継ぎとマニュアル作成。
いけ好かない無能な子に引き継ぐことになってプライドはずたずた。
でも教えてみると、案外と有能なことに気づかされた。
今どきの子らしく情報収集能力に長けてたり、何より華やかな社交家さんだから、社内のネットワーク網が豊富だ。
案外とあの仕事には有益な素養。
とかって、分析してたわ!。
下手すると私が去ったあと、なんだ新人でこんなにさくさくっとできるんだったら、前任の派遣さんは、ああ見えて無能だったんだなっとか陰口を叩かれたくなくって、予防線を張るべく業務マニュアルを作成したんだった。
まあ、善意って部分も何割かはあるけど。
慣れるまではけっこう煩雑な仕事だし、彼女あの地味な仕事に就くのを非常に憂鬱に思っていたし。
派遣社員の鑑だったのに。