通勤列車での再会
朝の通勤ラッシュは、相変わらずの込みよう。
私が乗る駅から、3つ目の駅からこんできます。
その日は、いつもより1本遅い電車に乗ることになりました。
ちょっとゴミだしをしていたら遅くなったのです。
でもまあ遅刻はしないだろうと思いつつ、とりあえず今日のスケジュールをスマーフォンで見ていました。
電車が入ってきて、ふっと顔を上げるとちょうどドアが開くところだったのです。
その瞬間目が一人の男性にくぎづけになったのです。
本当にびっくりしました。
私が今までの生涯で一番長く付き合った彼がそこにいたからです。
学生の頃からの付き合いでしたら思い出すのは、若さあふれる彼でしたが、今はそれなりの年をとって、それなりに立っていました。
確か彼は2つ手前の駅に以前は住んでいましたし、都内の会社でしたら、同じ電車になる可能性は、環境がかわらななければあったのだけど、まさか、本当に偶然にあうとは。
そして、私たちは目があってしまったのです。
今更無視はできません。
隣に立って、「おはよう、ひさしぶりだね」とあいさつ。
だんだん混んでくる電車の中で、当たり障りのない会話をしながら、何気なく彼を観察していました。
たぶん、彼もそうなんでしょう。
独身主義だといきまいていた彼。
薬指には指輪が光っていました。
さすがにちょっとがっかりしてしまいましたが、それでも、「またな」っていう彼の声に「うん、またね」と返事をした私は、それ以来、電車が入ってくると、彼を探しています。
でも、いつものより1本早い電車で行くようになったのは、ちょっとした抵抗。
まっすぐな恋
バイト先の新しい店長は、学生の私とさほど年齢が変わらなかった。
そんな店長の最初の挨拶は『よっ!はじめまして!』・・・。
なにこの人~…なんか軽い感じ。
あんまり年もかわらないし大丈夫かなぁって、第一印象はあんまりだった。
でも最近なぜだかみんな楽しそう。
新しい店長になってからどこか一体感がでて、笑い声が聞こえて、気づけば私も仕事に行くのが楽しみになっているじゃない!
いつも笑顔で気さくに挨拶してくれて、仕事だっていつもまっすぐに向き合ってかっこよくて、目で追ってしまっていた自分にハっとしたのを覚えている。
店長が来て半年が過ぎた頃かな?帰ろうとした時、いつも気さくな店長が「お前の事が好きなんだ」と急に真剣になってまっすぐな目で伝えてくれた。
私は、本当にこの胸に飛び込んでいいのかな…?本当に私に言ったんだよね?と一瞬悩んだけれど、その目を見たら体が勝手に飛び込んでいた。
そして誰もいなくなったお店で、初めて短くて軽いキスをしたと思う。
「あ~緊張したよ俺は」とハニカミながら言っていた。
胸がキュンキュンした。
これが恋なんだな、とキュンキュンを噛み締めながら思った。
日が経つにつれてどんどん好きになれた。
まっすぐな彼と頑固な私はぶつかる事もあったけれど、その度にきちんと話し合った。
そして 仲直りエッチ というものも初めて経験した。
まっすぐな彼のまっすぐな愛情は、私を何度も絶頂させた。
抱かれるだけで愛されているんだと感じ、なぜか涙がでて来る日もあった。
必要とされている事が本当に幸せなんだと感じた、私の初恋。
一生忘れたくない宝物。