マフラー

昔から寒い時期になるとどうしても彼氏にマフラーがあげたくなる。
何でなのかいまだにはっきりとはわからないがきっと願望なのかもしれない。

マフラーを巻けば彼氏を温めることができる。
そのマフラーは彼の首元に巻き付くことができる。
本当はわたし自身が彼に巻き付きたいけどいつでもどこでも彼に絡んでるわけにもいかない。
でも本当は絡みたい。
そんなわたしの代わりをマフラーに委ねているのかもしれない。
彼とケンカしたときも同じ。
ぶん殴ってやりたいぐらいむかつくし首絞めてゆさぶってやりたくなる時もある。
でも非人道的な行動はできないしテレビのトップニュースに出るなんてそんなことまでしたくない。
わたしの代わりにマフラーが彼の首元を絞めてくれる。
そう思うだけで満足できる。
彼とのケンカのほとぼりが冷めた後に気付いたことがあった。
ケンカしてても彼は肌身離さずマフラーを着けててくれたんだって。
彼だってイライラしてたんだからそのマフラー取って放り投げたり燃やすことだってできただろうに。
でもそのマフラーは彼の首にしっかりと巻き付いていた。
まるで蛇のように。
そう思ったら顔がニヤニヤしてきた。
さっき何の件でケンカしてイライラしてたのか分からなくなるぐらい嬉しかった。
今回はわたしから謝ろうと思えた。
マフラーだけに限らずネックレスやピアスや指輪などのアクセサリーはもらう側はもちろん嬉しいと思うけどあげるほうも違った喜びがあると思う。
自分があげたものをいつも肌身離さず着けていてくれる。
わたしだけの為にわたしがプレゼントしたものをしてくれてるその行動がわたしの独占欲を満足させる。
私のことを好きでいてくれてるんだって安心させる。
独占欲だけでなく自我愛もたくさん含まれるプレゼントなのかもしれない。
でもわたしがそうやって思えるのは冬の寒い時期だけ。
夏なんて暑苦しくてそんなこと思ってられない。
だからネックレスなどではなくマフラーがいいのかもしれない。
今年の冬ももちろんマフラー買ってプレゼントしようと思う。