二度とないチャンス

騒がしさがなく、揉め事もなく、寂しい。
そんな感情が日に日に強くなります。
そんな時、人の縁とは不思議なものです。

今までがむしゃらに生きていた頃は心の中に「子供が成人するまでは結婚はしない」と決めて家庭に身を投じてきていた私に、求愛してくださる男性が現れたのです。

バツイチでもいい、子供がいてもいい、借金があるなら僕が返す、だから僕と残りの人生、結婚して一緒に過ごしてください、と指輪をいただいたのです。

そんなことがあるのでしょうか。
私は嬉しくて泣きました。
でも、子供たちはなんというだろう?

40も後半の私が子供たちより先に結婚、しかも再婚なんてしていいものだろうか?
私は悩みました。

しかし、子供たちはそんな私の悩みなど吹き飛ばしてくれました。
祝福しかありませんでした。
苗字も快く変更を認めてくれました。

まるでそれが私への親孝行だというかのように。
そうして私は再婚しました。
その後、子供たちも立て続けに結婚をし各自愛する家族を持つ家庭を築きました。

今日で10年目になります。
そろそろ孫の顔が見られることにもなりました。

ここまでなると過去の不幸はどうでもいいことです。
そもそも日本という国は、母子家庭を想定した生活設計を前提としていませんから、不利な状況を嘆いても仕方のない事です。

いかに最短で幸せをつかむかという、人生設計が運を開きます。

異業種交流会

友達主催の「異業種交流会」と言う名の飲み会に誘われ、あまり乗り気ではなかったものの、せっかくのチャンスは断らない!と決意し、自分自身を奮い立たせ参加しました。
人数は20人弱と大人数で、人見知りをする私としては少し緊張してしまいました。

場の雰囲気にもたいぶ慣れ、会話を楽しめるようになった頃、隣に座っていた男性から連絡先を聞かれて後日食事をする約束をしました。

待ち合わせ場所に現れた彼を見て私は、恋する予感を感じてしまったのです。
理由は分かりません。
決してルックスが好みなわけでもないし、挨拶以外に何か話をしたわけでもないのに。

彼はとても素敵なお店を予約してくれていて、美味しい食事と景色の良さに、久しぶりに夢のようなひとときを過ごすことが出来ました。

帰りは遠回りになるというのに、私と同じ電車に乗ってくれ、電車を降りた後も、私が乗換した電車が走り去るまで見送ってくれて、とても紳士でした。

走り出す電車の中で彼に手を振る私。
それを見て私に手を振る彼。
知らない人が見れば普通にカップルみたい!と彼と別れた後、ニヤニヤが止まりませんでした。

家に着いた頃、「今日は楽しい時間をありがとう。また食事に誘ってもいいかな?」とメールがあり、私はもちろん!と独り言を言いながら「こちらこそありがとうございました。ぜひ、またご一緒させてください」と上品に返事をした。

彼の側にいても恥ずかしくないような女性になるように、日々気をつけなくちゃと改心した瞬間でした。