サッカーは嫌い
私はサッカーが嫌いだ。
訳はいくつもいくつも重ね重ねある。
遡ること高校の時。
授業でサッカーをした。
偏差値は低いくせに、うちの高校の女子はスポーツ大好き。
たかが授業の練習試合にも本気モードで挑んでくる。
わたしはなるべく端っこで走ってボールを追いかけてるフリをする。
この屈辱感、この脇役感。
すると親切で活発なクラスメートがボールをパスしてくれる。
これがまた、痛いし有難迷惑ですよ。
そして大変に困惑して気を遣うのが、次だ。
誰にボールをパスすべき?。
グループの友だち?それともゲームをリードしてる子?あるいは私同様まだ一回もボールに触れてない子?。
戸惑っているその隙をついた敵が、鮮やかにボールを奪ってしまう。
味方からの激しいブーイング。
しかも故意でないとはいえ、烈しいキックを足の横っ面に喰らってしまった。
なんてこと…。
怒りが全身に満ちる。
青あざになったかもしれない。
それにさっきキックした際に親指の爪に血豆のひとつでもできたかもしれない。
こっそり靴を脱いで靴下をめくり確認する。
大丈夫。
そしてまた走ってるフリ続行。
すると今度はグループの友だちがパスをくれた。
わたしは友情を活かし見事ゴール!。
が、あっけにとられるフィールドの面々。
なんてことでしょう。
敵のゴールに蹴りこんでしまったのだ。
思い出すのも忌まわしい、立派なトラウマだ。
それに正直、ゲームのルールがさっぱり理解できない。
味方であるゴールキーパーにボールをパスして何で失点になる訳?って今にすれば馬鹿まるだし。
そして観戦者としても私は失格だったのだ。
短大時代、チケットを入手した友人に誘われてプロの試合観戦に出かけた。
どちらの客席じゃなかったサポーター席ね、サポーター席なのか、何度確認しても頭に入らない。
どちらに得点が入ったのかもちんぷんかんぷん。
周りが立ち上がったら、真似てイエーイって歓声をあげる。
拍手とかしながら、ひょっとして自分は途方もない馬鹿ではないか?波のような不安感が押し寄せる。
だからサッカーは嫌いっていうよりトラウマに近いスポーツだ。
好きな女性を見ている方がずっといいです。